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2006.01.29

博士の愛した数式

小川洋子の「博士の愛した数式」を読んだ。
記憶障害を持つ元数学者と、数字を通じて交流を深め合うという発想が面白いんだけども、それ以外に、数学を嫌いだった人も、小川洋子の魔法の文章に触れると、数学の美しさが理解できて興味を持つだろうという気がする。

小川洋子は、おそらく決して数学は得意ではなかったように思うのだが、この小説を書くに当たっては、相当の勉強をしたのではないかと推測する。
1からnまでの整数の和の公式の導出の説明なんか、なかなかいいね。
大数学者でもあり、僕達の世界では電磁気学者としても有名なガウスはこれを小学生の年齢のときに編み出したらしい。
素数の不思議、完全数、友愛数など、数学を知らない読者をもぐいぐい引き込む文章だと思う。

読み終わったとき、爽やかな感動があった。
記憶、数学、阪神タイガース。
最初はなんて厄介な人なんだろうと思っていた博士を、読者もだんだんと好きになっていくことだろう。僕もそうだった。

義姉と主人公の間に軋轢が生じたとき、博士が差し出した数式の書かれた紙切れ。
そこには、オイラーの等式があった。

「オイラーの公式」は、指数関数と三角関数を結びつける角度θ(シータ)についての式で、

ei θcosθisinθ ・・・①

が一般形である。
この式は、電気回路の交流理論の計算でも重宝する式で、僕達電気屋にはなくてはならない関係式だ。

さて、①で、θπのとき、cosθ=-1、sinθ=0なので、

ei π=-1

つまり、

ei π+1=0

という「オイラーの等式」となる。

何とも不思議な不思議な非常に美しい数式だ。
数学にとっては非常に重要な2つの定数、円周率(π)と自然対数の底=ネイピア定数(e)が、虚数単位iと整数1によって結びつけられている。
これにどんな意味が隠されているのか、僕は知らないが、美しさには唖然とさせられる。

「博士の愛した数式」とは、この式であったのだろうか。

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コメント

私は、数学、大不得意だからなぁ・・・
この映画、試写会のお誘いがあったんだけど
時間が合わなくて、観に行けませんでした。
残念でした。本で読むのもいいですね・・。

投稿: 紗恵 | 2006.01.29 02:19

私はまだこの本も映画も観てはいませんが、とても関心があります。
と言うのも、夫が数学者の「藤原正彦さん」の本をよく読んでいまして私も楽しみながら拝読しています。
数学と文芸との調和は何処かで重なるような気がするのですが・・・
なるほど、数式の美しさはまさに芸術ですね♪

投稿: りょう | 2006.01.29 06:50

映画もいいらしいですね。
数学、僕も理科系でありながらあまり得意ではないのですが面白いですよ。
娘や息子から質問を受けたときのために、中学・高校の数学を復習してます。(笑)
一読をお薦めしたい小説です。

投稿: もっちん | 2006.01.30 22:45

藤原正彦さんの本は、この小説家も参考にしていますし、解説も書いていらっしゃいます。
ほんとに偉大な法則ほど、数式はシンプルで美しく、芸術のように素敵ですね。
問題の解法も「エレガント」なのがいいですね。

投稿: もっちん | 2006.01.30 22:50

お二人で書いた本もありましたよね?
そうそう!!
「エレガント」・・・素敵な表現です♪

投稿: りょう | 2006.01.30 23:11

昨日、早速本屋で文庫本をみつけ、購入しまして読んでいます。

投稿: 紗恵 | 2006.01.30 23:59

今、半分くらいまできました。
涙がでてしまいました・・・。

投稿: 紗恵 | 2006.02.01 01:12

もし愛する人が、次の日になったら、すっかり自分のことを忘れてしまってたら、どんな気持ちなのかなぁ?

次の日、自分のことを忘れた彼(彼女)にとっては、初めて会った気持ちなのだけど、また自分のことを初めての人として愛してくれたら最高やねぇ。

忘れてしまう方にすれば毎日が初めての出会い。
でも、覚えている方は毎日が、また彼(彼女)を愛せるだろうか、そして、彼(彼女)は自分を再び受け入れてくれるだろうかという試練の日々。

こりゃ結構きつい真剣勝負だなぁ。

記憶から消えても、次の日、出会うとまた恋に落ちてしまう、それはきっと
ソウルメイトっていうものなんだろうな。

投稿: もっちん | 2006.05.01 21:08

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