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2012.02.16

読了 『春は鉄までが匂った (小関智弘著、ちくま文庫) 』

図書館でふと目に止まり、小関智弘さんの著書を初めて読んだ。
若いころから旋盤工として長年町工場で働いてきた小関さんが、旋盤工ならではの視点で、町工場やそこで働く人達のことを書いているエッセーというかルポルタージュである。
自分でもボール盤やドリル等を扱い少しは板金工作もするが、エレクトロニクス系のことがメインだった僕には、鉄を削る旋盤工の仕事が新鮮であり、また、当然のことながら、そこにも技術の奥深さがあることを知った。

いくら最新鋭の機械があっても、それを扱う人間にこそ経験に裏付けされた知恵があり、その知恵なくしては良いものができないということは言い得て妙、納得できる。結果は同じでも、それを作り上げるためのプロセスこそに個性が出て、知恵の入る余地がある。

年を取ってから、旋盤界の新技術とも言えるNCマシン(数値制御の工作機械、要はコンピュータ制御による切削機械である)をマスターされたことにも、頭が下がる。
NCマシンのプログラミングにも、やはり鍛えられた職人の知恵が盛り込まれていないと、よい工作はできないようだ。

半導体設計の世界も、理屈だけではうまくいかない。特にグランドや電源系の配線など、ノイズに強くして、ピュアな信号を伝えるレイアウトは経験がモノを言う。こうした“知恵”を伝承すべき、シニア技術者が、なんの配慮もなくリストラされていくのを見るのは忍びない。
知恵を残す組織、会社でなければ、この厳しいメガコンペティションの世界を生き抜いていくことはできないだろう。


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